平成20年4月1日付けで病院長に就任しました。この尋常ならざる医療情勢の中での院長として責務の重さに、身も心も引き締まる思いです。
 国の25年にわたる医療費抑制策が招いた深刻な医師不足が、地域医療に崩壊の危機をもたらしています。
OECD加盟30カ国での最近の国際比較では、人口千人に対する医師の人数は27番目という低開発国並みの状況で、世界の平均より現在の日本では12万人も医師が足りない状態に陥っているのです。これは強引な医療費抑制政策と医師数抑制策の結果なのです。
 さらに地方の医療状況を全く考慮せずに卒後医師臨床研修制度が平成17年度から完全実施されて、潜在的に進行していた医師不足が急激に表面化して医療崩壊が始まったのです。それまで大学の医局から派遣されていた医師が重要な戦力となって運営されていた殆どの地方病院で、医師派遣の中止、引き上げが行われたのです。
 我が辰野病院もこのわずかな3年間で8人が去り、今年度は7人の常勤医で病院を運営していかなくてはならないことになりました。3年前に産婦人科医師がいなくなり辰野町ではお産ができなくなりました。昨年から小児科医師がいなくなり小児科の入院治療や時間外救急患者も受けれられなくなりました。
町立辰野総合病院院長
  内科 
土屋 文夫
昭和56年に私が当院に赴任した時には常勤医は8人でした。以来漸次医師数、医療スタッフの人数も増えて3年前までの23年間というものは小規模病院ではあるけれど地域の人々にしっかりと役立っている病院、経営的にも比較的良好な病院といわれていた我が辰野病院がまさかこのような状況に陥るとはとても予想ができないことでした。
 現在の7人の医師の一人でも欠けるようなことがあれば、病院自体が崩壊してしまう可能性があります。当院が崩壊してしまったらどのようなことになるのでしょうか?近隣の病院、開業医でこ辰野病院の患者さん達皆が診療を受けられるのだろうかと考えると、おそらく半数以上の患者さん方がいわゆる医療難民とならざるを得ないと思われるのです。何としてでも辰野病院を存続させて、現在の医療活動・医療サービスを維持させていく必要があります。
 辰野病院の使命は辰野・箕輪地域の一次・二次医療と救急体制の死守であると自覚し当直翌日の通常勤務や時間外呼び出しにもなんとか対応をしていますがこの状況が長く続けば現在の体制の維持も難しくなってくると思います。
 老朽化した病院の建て替え計画も医師確保や経営の改善、国の医療政策を見極めながら期を逸しずに進めなければならない時でもあります。
 当院の透析センターには上伊那で貴重な存在の腎臓専門医がおりレベルの高い透析治療を行っており、需要も多く四月に三床を増床して対応しております。
また、在宅医療を充実させるため多くの職種で在宅医療を支援するための体制整備をすすめており訪問看護や往診、訪問リハビリに取り組み始めております。
 地域の医療を守るために奮闘努力をしていくつもりですのでよろしくお願いします。